語尾を伸ばさない(その2) 〜 シリーズ「失敗する言動」〜
- 2018/07/12
- 20:30
# 言葉づかい # ビジネス用語 # 語尾 伸ばし # 語尾のばし
前回のその1では、「いらっしゃいませー」 「ありがとうございましたー」などの語尾を伸ばす話し方は、印象が悪いから止めましょうというお話をしました。
今回は、語尾伸ばしがクレームを生む というお話をいたします。
* * *
語尾伸ばしというのは、幼児がよくする話し方です。
大人が日常生活でそれをするのは一部の人だけです。 なぜなら、大人同士の日常会話で語尾伸ばしをすると、笑われるからです。
とても個性的な人しか、日常会話では語尾伸ばしをしません。
日常会話ではしないのに、接客の仕事のときに限って「いらっしゃいませー」などと語尾伸ばしをするのは、いったいなぜなのでしょう。
語尾伸ばしという幼児言葉が、仕事になると出てくるのはなぜなのでしょう。
・ ・ ・
ところで、日本人の大人の多くは、幼児に対しては語尾伸ばしなどの “赤ちゃん言葉” を使いがちです。
腰をかがめて「花子ちゃーん、どーしちゃったのかなー」とか言ったりします。
幼児の関心を惹こうとしているのか、あるいは幼児を恐がらせないようにしているのか、大の大人が赤ちゃん言葉で話し掛けているのが現実です。
多くの日本人が語尾伸ばしで幼児に話し掛けるので、それを当たり前に思う人が少なくないと思いますが、これは日本だけの特色で 海外ではそれほど見られないものです。
先進国でも発展途上国でも 海外では、大人が幼児に赤ちゃん言葉で話し掛けたりしません。
もちろん海外でも、幼児は幼い言葉を使います。母親をmommieとか、犬をbow-wowとか言いますし、言われた親も同じ幼児言葉を使って返事をしたりします。
しかしこれは、幼児から言われたときの返事に限ってであり、大人側から幼児に話し掛けるときに幼児言葉を使うのは日本だけです。
日本人も戦前まではこのようなことはありませんでしたが、戦後になって “幼児には赤ちゃん言葉で話し掛ける”のが流行りだしてしまいました。
しかしこれは大きな誤りです。
事実、躾をするときには、大人に対する言葉使いでした方が効果があります。
幼児言葉で「ねー ねー、みんな聞いて−、道路を渡る時は、手を挙げましょうねー」と優しく語尾伸ばしで躾けても頭に入りません。 幼児はこっちを向いてはいても幼児言葉を耳にすると面白いことを探し出しますので、結局は躾に結びつかないのです。
大切なことを話すときや躾をするときは、普通に大人同士でする話し方で伝えるのが効果的です。
幼稚園教員の資格を持つ幼稚園の先生の多くは この誤りを知っていらっしゃるようで、「花子ちゃーん、どーしちゃったのかなー」と語尾伸ばしをする先生は少ないようです。
・ ・ ・
そういう語尾伸ばしを幼児にしている日本において、販売者側が消費者側に向かって語尾伸ばしをすると「幼児あつかいをしているのか?」という潜在的疑惑が湧きます。
ですから、接客に限らず、あらゆるシーンでもですが、語尾伸ばしはしたくないものです。
とくに、相手が年上なら 語尾伸ばしは止めたいものです。
例えその人と、とても仲良くなったとしても、始めと終わりの挨拶だけでもしっかりとした話し方をして けじめを付けたいものです。
・ ・ ・
ホテルマンや旅客機の客室乗務員、あるいは芸姑さんなど、一流の接客業では語尾伸ばしなど絶対にしないことも合わせて考えれば、語尾伸ばしが良くないのだと理解もできるでしょうか。
* * *
語尾伸ばしをしない方が良い理由のもうひとつに、クレーム軽減 があります。
人間は必ず失敗をします。 最大限努力したとしても 相手に迷惑をかけてしまうことが どうしてもあります。
失敗は付きものなのです。
大切なのは「同じ失敗をしないように気を付ける」でなくて 『その失敗を反省して 改善する工夫と努力をする』ことです。
そしてもう一つの大切なのは、その失敗での お客さんの不快感を高めないこと。
たとえ同じレベルの失敗でも スタッフの言動によって、顧客の不平や怒りは 大きくも小さくもなったりします。
例えば、以前に私が飲食店で空席に着いたら、前の客の使ったナプキンとか楊枝などが散らかっていました。 店員さんが片付けていないのです。 きっと忙しかったのでしょう。
お互い労働者です。 私はそんなことでクレームを言ったりしません。
にんまり笑顔で テーブルを拭いてくれるのを黙って待ちます。
この時、できる店員さんなら「失礼しました。すぐに片付けます」と私に言って片付けを実行するでしょう。 私が相手ならばですが、片付けていなかったことはクレームにはなりません。
しかし、ここで語尾伸ばしをされるとカツンと来ます。
「すみませーん、今、片付けますねーー」という語尾伸ばしがカツンと来るのです。
また、あなたが歩道を普通に歩いていたら、後ろから自転車が突っ込んで来てぶつかったとします。 あなたはとても痛いわけです。
この時に自転車の運転手が「すみませーん」と語尾伸ばしで謝罪すると頭にくるでしょう。
正しく謝罪すれば良いものを 語尾伸ばしで謝ったりするから、被害を受けた人の怒りは大きくなってしまうのです。
・ ・ ・
とくに謝罪の時には 語尾伸ばしを禁じたいものですが、怒られるのではないかという恐怖心が先立つと、語尾伸ばしになりがちです。
これは、自分が幼児という弱者になって許してもらおうという心理でしょうか。 いずれにしろ気を付けたいものです。
* * *
そしてさらに面倒なのは、悪人に対して 語尾伸ばしで謝罪してしまうことです。
昭和のころまでは、ヤーサンやチンピラなどの悪い人が街には沢山いて、弱い者に からんだものです。
弱者に からむのは悪い事ですが、悪い人は悪い事をしますから、当然に弱者は餌食にされたのです。
今は暴力団対策法でヤーサンが少なくなりましたが、その分クレーマーが増えています。
先日もラーメン屋さんで “妙な顔つきのオバサン”が 「(ラーメンの)味、変わった?」と何度も言いがかりを付けていました。
言いがかりを付けるのは給仕するアルバイト女性で、すぐそばで調理している男性の店長には言いません。
なぜでしょうか。 それは、その女性スタッフが語尾伸ばしをしていたからです。
『クレーマー = 悪い人』とは、あえて断定しませんが、多くの人は自分より弱い者に言いがかりを付けたがります。 その方が反逆されないと思い込んでいるわけです。
このラーメン屋さんでも、給仕の人が女性だったから言いがかりを付けたのもありますが、語尾伸ばしをしていたから舐められたのもあるのです。
出来る接客業の人が決してしない語尾伸ばしです。 それをすれば、舐められるのは当然とも言えます。
自分の語尾伸ばしで、クレームを炎上させることは避けたいものです。
もう一度言います。 顧客はスタッフの失敗動作で怒っているのではありません。
そのスタッフの言動が不愉快になっているのです。
「言葉づかいが悪い!」ではクレームとして主張するには曖昧なので、失敗動作を見つけて難癖をつけているだけです。
ですから、失敗をゼロにしようという不可能なことを目指すよりも、正しい言葉づかいを身に付けたいものです。
前回のその1では、「いらっしゃいませー」 「ありがとうございましたー」などの語尾を伸ばす話し方は、印象が悪いから止めましょうというお話をしました。
今回は、語尾伸ばしがクレームを生む というお話をいたします。
* * *
語尾伸ばしというのは、幼児がよくする話し方です。
大人が日常生活でそれをするのは一部の人だけです。 なぜなら、大人同士の日常会話で語尾伸ばしをすると、笑われるからです。
とても個性的な人しか、日常会話では語尾伸ばしをしません。
日常会話ではしないのに、接客の仕事のときに限って「いらっしゃいませー」などと語尾伸ばしをするのは、いったいなぜなのでしょう。
語尾伸ばしという幼児言葉が、仕事になると出てくるのはなぜなのでしょう。
・ ・ ・
ところで、日本人の大人の多くは、幼児に対しては語尾伸ばしなどの “赤ちゃん言葉” を使いがちです。
腰をかがめて「花子ちゃーん、どーしちゃったのかなー」とか言ったりします。
幼児の関心を惹こうとしているのか、あるいは幼児を恐がらせないようにしているのか、大の大人が赤ちゃん言葉で話し掛けているのが現実です。
多くの日本人が語尾伸ばしで幼児に話し掛けるので、それを当たり前に思う人が少なくないと思いますが、これは日本だけの特色で 海外ではそれほど見られないものです。
先進国でも発展途上国でも 海外では、大人が幼児に赤ちゃん言葉で話し掛けたりしません。
もちろん海外でも、幼児は幼い言葉を使います。母親をmommieとか、犬をbow-wowとか言いますし、言われた親も同じ幼児言葉を使って返事をしたりします。
しかしこれは、幼児から言われたときの返事に限ってであり、大人側から幼児に話し掛けるときに幼児言葉を使うのは日本だけです。
日本人も戦前まではこのようなことはありませんでしたが、戦後になって “幼児には赤ちゃん言葉で話し掛ける”のが流行りだしてしまいました。
しかしこれは大きな誤りです。
事実、躾をするときには、大人に対する言葉使いでした方が効果があります。
幼児言葉で「ねー ねー、みんな聞いて−、道路を渡る時は、手を挙げましょうねー」と優しく語尾伸ばしで躾けても頭に入りません。 幼児はこっちを向いてはいても幼児言葉を耳にすると面白いことを探し出しますので、結局は躾に結びつかないのです。
大切なことを話すときや躾をするときは、普通に大人同士でする話し方で伝えるのが効果的です。
幼稚園教員の資格を持つ幼稚園の先生の多くは この誤りを知っていらっしゃるようで、「花子ちゃーん、どーしちゃったのかなー」と語尾伸ばしをする先生は少ないようです。
・ ・ ・
そういう語尾伸ばしを幼児にしている日本において、販売者側が消費者側に向かって語尾伸ばしをすると「幼児あつかいをしているのか?」という潜在的疑惑が湧きます。
ですから、接客に限らず、あらゆるシーンでもですが、語尾伸ばしはしたくないものです。
とくに、相手が年上なら 語尾伸ばしは止めたいものです。
例えその人と、とても仲良くなったとしても、始めと終わりの挨拶だけでもしっかりとした話し方をして けじめを付けたいものです。
・ ・ ・
ホテルマンや旅客機の客室乗務員、あるいは芸姑さんなど、一流の接客業では語尾伸ばしなど絶対にしないことも合わせて考えれば、語尾伸ばしが良くないのだと理解もできるでしょうか。
* * *
語尾伸ばしをしない方が良い理由のもうひとつに、クレーム軽減 があります。
人間は必ず失敗をします。 最大限努力したとしても 相手に迷惑をかけてしまうことが どうしてもあります。
失敗は付きものなのです。
大切なのは「同じ失敗をしないように気を付ける」でなくて 『その失敗を反省して 改善する工夫と努力をする』ことです。
そしてもう一つの大切なのは、その失敗での お客さんの不快感を高めないこと。
たとえ同じレベルの失敗でも スタッフの言動によって、顧客の不平や怒りは 大きくも小さくもなったりします。
例えば、以前に私が飲食店で空席に着いたら、前の客の使ったナプキンとか楊枝などが散らかっていました。 店員さんが片付けていないのです。 きっと忙しかったのでしょう。
お互い労働者です。 私はそんなことでクレームを言ったりしません。
にんまり笑顔で テーブルを拭いてくれるのを黙って待ちます。
この時、できる店員さんなら「失礼しました。すぐに片付けます」と私に言って片付けを実行するでしょう。 私が相手ならばですが、片付けていなかったことはクレームにはなりません。
しかし、ここで語尾伸ばしをされるとカツンと来ます。
「すみませーん、今、片付けますねーー」という語尾伸ばしがカツンと来るのです。
また、あなたが歩道を普通に歩いていたら、後ろから自転車が突っ込んで来てぶつかったとします。 あなたはとても痛いわけです。
この時に自転車の運転手が「すみませーん」と語尾伸ばしで謝罪すると頭にくるでしょう。
正しく謝罪すれば良いものを 語尾伸ばしで謝ったりするから、被害を受けた人の怒りは大きくなってしまうのです。
・ ・ ・
とくに謝罪の時には 語尾伸ばしを禁じたいものですが、怒られるのではないかという恐怖心が先立つと、語尾伸ばしになりがちです。
これは、自分が幼児という弱者になって許してもらおうという心理でしょうか。 いずれにしろ気を付けたいものです。
* * *
そしてさらに面倒なのは、悪人に対して 語尾伸ばしで謝罪してしまうことです。
昭和のころまでは、ヤーサンやチンピラなどの悪い人が街には沢山いて、弱い者に からんだものです。
弱者に からむのは悪い事ですが、悪い人は悪い事をしますから、当然に弱者は餌食にされたのです。
今は暴力団対策法でヤーサンが少なくなりましたが、その分クレーマーが増えています。
先日もラーメン屋さんで “妙な顔つきのオバサン”が 「(ラーメンの)味、変わった?」と何度も言いがかりを付けていました。
言いがかりを付けるのは給仕するアルバイト女性で、すぐそばで調理している男性の店長には言いません。
なぜでしょうか。 それは、その女性スタッフが語尾伸ばしをしていたからです。
『クレーマー = 悪い人』とは、あえて断定しませんが、多くの人は自分より弱い者に言いがかりを付けたがります。 その方が反逆されないと思い込んでいるわけです。
このラーメン屋さんでも、給仕の人が女性だったから言いがかりを付けたのもありますが、語尾伸ばしをしていたから舐められたのもあるのです。
出来る接客業の人が決してしない語尾伸ばしです。 それをすれば、舐められるのは当然とも言えます。
自分の語尾伸ばしで、クレームを炎上させることは避けたいものです。
もう一度言います。 顧客はスタッフの失敗動作で怒っているのではありません。
そのスタッフの言動が不愉快になっているのです。
「言葉づかいが悪い!」ではクレームとして主張するには曖昧なので、失敗動作を見つけて難癖をつけているだけです。
ですから、失敗をゼロにしようという不可能なことを目指すよりも、正しい言葉づかいを身に付けたいものです。
大切なあなたが 幸せでありますように。
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