映画『ゴジラvsコング』(評価③)
- 2021/07/03
- 22:00
# 映画『ゴジラvsコング』# 映画レビュー 評価 # GODZILLA ゴジラ
この映画を観るまで心配していました。
公開日までハラハラした思いでした。
なぜなら「ゴジラが負けるのは有りえない」からです。
映画『ゴジラvsコング』の見どころは『ゴジラとキングコングが戦って どちらが勝つか』ということですが、昭和生まれの私にとって、最強であるゴジラが負けるのは 有り得ません。
1954年(昭和29年)、東宝が 映画『ゴジラ』を手がけて以来 67年間、ゴジラは無敗です。
1962年(昭和37年)制作の『キングコング対ゴジラ』のように 勝負がつかなかった対戦や、対モスラのように 結局は同盟関係になる結果はあります。 また、対キングギドラなどで手を焼いた戦いもありました。 しかし、ゴジラが完敗したことはないのです。 全戦全勝したわけではありませんが、負けを記録したことは一度もないのです。
だからこそ、全世界の人間から、そして多くの怪獣(巨大生物 モンスター)から、King of the Monsters とゴジラは認定されたのです。 そんなゴジラが、キング・コングに負けるわけにはいかないのです。 弱い横綱が有り得ないのと同じです。
キングコングも強いのですが、強いといっても肉弾戦のみで 飛び道具がありません。 ところがゴジラは、肉弾戦もさることながら 放射熱線というものを口から吐きます。 もしかしたら、取っ組み合いのときはコングにも分があるかもしれませんが、とどめの放射熱線をやられたらお終いです。
大体にして、食っている物が違います。 ゴジラが食っている(吸収している)のは放射能です。 対してキングコングは 人間と同じに雑食です。 ジャンクフードばかりを食べている人よりは健康なコングだと想像しますが、放射能エネルギーで活動するゴジラが コングに負けるわけがありません。 体力の基本が違います。
繰り返します。 今まで無敗で、すでに巨大生物のトップで、戦闘能力に格段の差があり、放射能を食っているゴジラが、コングに負けることは 映画の展開であっても 有ってはならぬ事なのです。
しかし この映画は、カリフォルニア州にある映画制作会社レジェンダリー・ピクチャーズが作成したもの。 キングコングひいきのアメリカ人、ゴジラの使用権利が(一旦)切れるこのタイミング、日本の神 つまり神道を理解していない可能性もあるハリウッドが、ゴジラ敗退という とんでもない結末をしないかハラハラドキドキだったわけです。
その勝敗結果は 観てからのお楽しみにいたしますが、親ゴジラ派の私が 胸をなで下ろしたということだけお伝えします。
だからといって、親コング派の方も残念に思う必要はありません。 なぜなら 必ずしも勝者が主役ということはないから。 コングを応援する方々にとっても 納得の『ゴジラvsコング』だと感想します。
* * *
その他の評論の前に、この映画の背景を簡単に紹介します。
先に記したように、これは 映画制作会社 レジェンダリー・ピクチャーズが制作するモンスターバースシリーズの第4作品目です。 レジェンダリー社に言わせると、最終シリーズです。(いまのところ)
モンスターバースシリーズは、
● 2014年公開『GODZILLA ゴジラ』(原題:Godzilla)
渡辺謙出演。ゴジラの主な対戦相手は、ムートーという 放射能物質に産卵する習性の巨大生物
● 2017年公開『キングコング: 髑髏島の巨神』(原題:Kong: Skull Island)
● 2019年公開『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(原題: Godzilla: King of the Monsters)
渡辺謙出演。主な対戦相手は、キング ギドラ(モンスター・ゼロ)とラドン。 同盟者はモスラ。
他に、新たなムートー、ベヒモス、スキュラ、メトシェラも登場。
● そして、日本では2021年7月2日公開『ゴジラvsコング』(原題:Godzilla vs. Kong)です。
* * *
[ 見どころは ゴジラの眼力 ]
この映画の最大の見どころは、ゴジラの眼力、つまり目力でした。
街を急襲するときや軍隊から撃たれるときも ゴジラはある程度怒っているのですが、対戦相手のコングに対する眼力は物凄かったです。 まさに怒っているという印象を受けます。
トラやライオンなどの猛獣が、獲物を捕らえるときの目付きと 同類同士でケンカするときの目付きの違いを想像してみてください。 ケンカのときは物凄く怒っている印象を受けます。 このように 目付きには深層心理が表現されます。
今回のゴジラは眼力にてメッセージを発していました。 コングに対しては、なぜにそんなに怒っているか疑問でしたが、怒り爆発の眼力、ここを注目してください。
[ 残念その1 ゴジラの登場が早いところ ]
ゴジラが場面の早い段階で登場するのも残念でしたが、いきなり顔出しするのも良くない演出でした。
大物主役のゴジラが徐々に姿を見せるのは、今や常識。 はじめに地震や津波などを起こして人間を脅かし、海中から背びれを見せて「まるでクジラのようだ!」と言わせ、長い尻尾を見せて「なんだあれは!」と戸惑わせ、そうこうしてやっと巨大な足のアップ映像から上陸となるのがゴジラシリーズでは 今や当たり前。
ところが今回は、さっさと街中を踏みつけてテケテケと海中に帰宅。 また、コングとの第1戦でも背びれだけ見せて威嚇するシーンが短いのが残念でした。 見えない者こそ恐怖が高まるということを今回の監督は知らないのでしょうか。
[ 残念その2 伝家の宝刀、放射熱線が早いところ ]
放射熱線の使用も早すぎでした。 これはゴジラにとっての最終兵器なはずですし、これを使うと相当に体力を消耗するはず。 ところが今回は、とっとと火を噴きます。 そして何度もやります。
「前作の ゴジラ キング・オブ・モンスターズで体質が変わったのだ」という意見もあろうかと存じますが、そうだとしても本当の勇者は飛び道具をなかなか使わず できれば取っ組み合いだけでケリを付けるものです。 映画『エイリアンVS.プレデター』でもなるべく武器を使わずエイリアンと勝負するのがプレデターのプライドでした。
今回のゴジラにもプレデターと同じく、最終兵器として放射熱線を使用してほしかったものです。
[ 残念その3 静から動の恐怖感がない ]
残念その1と重複しますが、静から動という武士道の美を今回の監督は分かっていないのではないでしょうか。
例えば、『GODZILLA ゴジラ』では、風一つない静寂なシーンで、実は人々の上空をゴジラの巨大な尻尾が通過していたというシーンが印象的でした。 どこに居るか分からないくても 実はゴジラはもうすぐそこに居るのです。
オスのムートーが ゴジラに撃退されるシーンも静から動でした。 ゴジラの後ろから飛びかかるムートー。それでもゴジラは全く冷静で、敵を見ることもなく 尻尾を振り回して ビルディングとの間に叩きつけてノックアウト。一瞬の技でした。 そして後ろを見ることなくメスのムートーの所に向かいました。
日本の武道の達人もそうですが、余計な動きと喜怒哀楽は不要なのです。
また、「ガオー!」と叫びすぎるのも興ざめ。 黙っている人がいきなり怒り出すのが一番怖いのと同じです。 今回は終始叫びすぎです。
[ 残念その4 BGM ]
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でのエンディングテーマともなったGodzilla's Themeという BGMはとても良かった。 和風な男性コーラスが 和製ゴジラを際立たせ、再起したときや決戦時にワクワクしました。
今回はこのような名曲がBGMになかったのは残念です。
[ 残念その5 小栗旬の出演時間が短い ]
芹沢蓮役で小栗旬さんが出演者となりましたが、かなりカットシーンがあったのではないかと残念です。
噂では、試作版を上映したとき「コングとゴジラの対戦シーンが少ない」という不満が多くあり、対戦シーンを増し撮りしたと聞きます。 そのお陰で芹沢蓮の登場シーンが少なくなったのならば残念です。
カットするならば、マディソン・ラッセルを含む3人組が活動するシーンは全部不要と感じました。 マディソン・ラッセルは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でも出演していて、マーク・ラッセル博士と故エマ・ラッセル博士の娘。 シリーズとしては重要なのですが、今回は結局のところ 居なくとも…と感じました。 高校生のマディソンと 友人のジョシュ・ヴァレンタインそしてポッドキャスターであるバーニー・ヘイズがチームになって活動しますが、結局ゴジラに加勢できたのかはよく分かりませんでした。 その分を 芹沢蓮役の小栗旬さんの活躍シーンが多くてもと思います。
* * *
総括して この『ゴジラvsコング』は評価③でした。(※1)
『GODZILLA ゴジラ』と『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が評価④ですので、三作目は失敗するというジンクスどおりになってしまったという結果です。
話題のゴジラ最新作ですのでご覧になっても良いかと存じますが、あなたが熱狂なキングコングのファンでなければ、あまり期待しない方が良いかもしれません。
(※1)
私の評価③というのは「観て良かったな」と思う作品です。 評価④が何度も観たい作であり、評価⑤はそれ以上であり最高、評価②は他人様には「観ない方が良いよ」で、評価①は金と時間を返してほしいと思うものです。
この映画を観るまで心配していました。
公開日までハラハラした思いでした。
なぜなら「ゴジラが負けるのは有りえない」からです。
映画『ゴジラvsコング』の見どころは『ゴジラとキングコングが戦って どちらが勝つか』ということですが、昭和生まれの私にとって、最強であるゴジラが負けるのは 有り得ません。
1954年(昭和29年)、東宝が 映画『ゴジラ』を手がけて以来 67年間、ゴジラは無敗です。
1962年(昭和37年)制作の『キングコング対ゴジラ』のように 勝負がつかなかった対戦や、対モスラのように 結局は同盟関係になる結果はあります。 また、対キングギドラなどで手を焼いた戦いもありました。 しかし、ゴジラが完敗したことはないのです。 全戦全勝したわけではありませんが、負けを記録したことは一度もないのです。
だからこそ、全世界の人間から、そして多くの怪獣(巨大生物 モンスター)から、King of the Monsters とゴジラは認定されたのです。 そんなゴジラが、キング・コングに負けるわけにはいかないのです。 弱い横綱が有り得ないのと同じです。
キングコングも強いのですが、強いといっても肉弾戦のみで 飛び道具がありません。 ところがゴジラは、肉弾戦もさることながら 放射熱線というものを口から吐きます。 もしかしたら、取っ組み合いのときはコングにも分があるかもしれませんが、とどめの放射熱線をやられたらお終いです。
大体にして、食っている物が違います。 ゴジラが食っている(吸収している)のは放射能です。 対してキングコングは 人間と同じに雑食です。 ジャンクフードばかりを食べている人よりは健康なコングだと想像しますが、放射能エネルギーで活動するゴジラが コングに負けるわけがありません。 体力の基本が違います。
繰り返します。 今まで無敗で、すでに巨大生物のトップで、戦闘能力に格段の差があり、放射能を食っているゴジラが、コングに負けることは 映画の展開であっても 有ってはならぬ事なのです。
しかし この映画は、カリフォルニア州にある映画制作会社レジェンダリー・ピクチャーズが作成したもの。 キングコングひいきのアメリカ人、ゴジラの使用権利が(一旦)切れるこのタイミング、日本の神 つまり神道を理解していない可能性もあるハリウッドが、ゴジラ敗退という とんでもない結末をしないかハラハラドキドキだったわけです。
その勝敗結果は 観てからのお楽しみにいたしますが、親ゴジラ派の私が 胸をなで下ろしたということだけお伝えします。
だからといって、親コング派の方も残念に思う必要はありません。 なぜなら 必ずしも勝者が主役ということはないから。 コングを応援する方々にとっても 納得の『ゴジラvsコング』だと感想します。
* * *
その他の評論の前に、この映画の背景を簡単に紹介します。
先に記したように、これは 映画制作会社 レジェンダリー・ピクチャーズが制作するモンスターバースシリーズの第4作品目です。 レジェンダリー社に言わせると、最終シリーズです。(いまのところ)
モンスターバースシリーズは、
● 2014年公開『GODZILLA ゴジラ』(原題:Godzilla)
渡辺謙出演。ゴジラの主な対戦相手は、ムートーという 放射能物質に産卵する習性の巨大生物
● 2017年公開『キングコング: 髑髏島の巨神』(原題:Kong: Skull Island)
● 2019年公開『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(原題: Godzilla: King of the Monsters)
渡辺謙出演。主な対戦相手は、キング ギドラ(モンスター・ゼロ)とラドン。 同盟者はモスラ。
他に、新たなムートー、ベヒモス、スキュラ、メトシェラも登場。
● そして、日本では2021年7月2日公開『ゴジラvsコング』(原題:Godzilla vs. Kong)です。
* * *
[ 見どころは ゴジラの眼力 ]
この映画の最大の見どころは、ゴジラの眼力、つまり目力でした。
街を急襲するときや軍隊から撃たれるときも ゴジラはある程度怒っているのですが、対戦相手のコングに対する眼力は物凄かったです。 まさに怒っているという印象を受けます。
トラやライオンなどの猛獣が、獲物を捕らえるときの目付きと 同類同士でケンカするときの目付きの違いを想像してみてください。 ケンカのときは物凄く怒っている印象を受けます。 このように 目付きには深層心理が表現されます。
今回のゴジラは眼力にてメッセージを発していました。 コングに対しては、なぜにそんなに怒っているか疑問でしたが、怒り爆発の眼力、ここを注目してください。
[ 残念その1 ゴジラの登場が早いところ ]
ゴジラが場面の早い段階で登場するのも残念でしたが、いきなり顔出しするのも良くない演出でした。
大物主役のゴジラが徐々に姿を見せるのは、今や常識。 はじめに地震や津波などを起こして人間を脅かし、海中から背びれを見せて「まるでクジラのようだ!」と言わせ、長い尻尾を見せて「なんだあれは!」と戸惑わせ、そうこうしてやっと巨大な足のアップ映像から上陸となるのがゴジラシリーズでは 今や当たり前。
ところが今回は、さっさと街中を踏みつけてテケテケと海中に帰宅。 また、コングとの第1戦でも背びれだけ見せて威嚇するシーンが短いのが残念でした。 見えない者こそ恐怖が高まるということを今回の監督は知らないのでしょうか。
[ 残念その2 伝家の宝刀、放射熱線が早いところ ]
放射熱線の使用も早すぎでした。 これはゴジラにとっての最終兵器なはずですし、これを使うと相当に体力を消耗するはず。 ところが今回は、とっとと火を噴きます。 そして何度もやります。
「前作の ゴジラ キング・オブ・モンスターズで体質が変わったのだ」という意見もあろうかと存じますが、そうだとしても本当の勇者は飛び道具をなかなか使わず できれば取っ組み合いだけでケリを付けるものです。 映画『エイリアンVS.プレデター』でもなるべく武器を使わずエイリアンと勝負するのがプレデターのプライドでした。
今回のゴジラにもプレデターと同じく、最終兵器として放射熱線を使用してほしかったものです。
[ 残念その3 静から動の恐怖感がない ]
残念その1と重複しますが、静から動という武士道の美を今回の監督は分かっていないのではないでしょうか。
例えば、『GODZILLA ゴジラ』では、風一つない静寂なシーンで、実は人々の上空をゴジラの巨大な尻尾が通過していたというシーンが印象的でした。 どこに居るか分からないくても 実はゴジラはもうすぐそこに居るのです。
オスのムートーが ゴジラに撃退されるシーンも静から動でした。 ゴジラの後ろから飛びかかるムートー。それでもゴジラは全く冷静で、敵を見ることもなく 尻尾を振り回して ビルディングとの間に叩きつけてノックアウト。一瞬の技でした。 そして後ろを見ることなくメスのムートーの所に向かいました。
日本の武道の達人もそうですが、余計な動きと喜怒哀楽は不要なのです。
また、「ガオー!」と叫びすぎるのも興ざめ。 黙っている人がいきなり怒り出すのが一番怖いのと同じです。 今回は終始叫びすぎです。
[ 残念その4 BGM ]
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でのエンディングテーマともなったGodzilla's Themeという BGMはとても良かった。 和風な男性コーラスが 和製ゴジラを際立たせ、再起したときや決戦時にワクワクしました。
今回はこのような名曲がBGMになかったのは残念です。
[ 残念その5 小栗旬の出演時間が短い ]
芹沢蓮役で小栗旬さんが出演者となりましたが、かなりカットシーンがあったのではないかと残念です。
噂では、試作版を上映したとき「コングとゴジラの対戦シーンが少ない」という不満が多くあり、対戦シーンを増し撮りしたと聞きます。 そのお陰で芹沢蓮の登場シーンが少なくなったのならば残念です。
カットするならば、マディソン・ラッセルを含む3人組が活動するシーンは全部不要と感じました。 マディソン・ラッセルは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でも出演していて、マーク・ラッセル博士と故エマ・ラッセル博士の娘。 シリーズとしては重要なのですが、今回は結局のところ 居なくとも…と感じました。 高校生のマディソンと 友人のジョシュ・ヴァレンタインそしてポッドキャスターであるバーニー・ヘイズがチームになって活動しますが、結局ゴジラに加勢できたのかはよく分かりませんでした。 その分を 芹沢蓮役の小栗旬さんの活躍シーンが多くてもと思います。
* * *
総括して この『ゴジラvsコング』は評価③でした。(※1)
『GODZILLA ゴジラ』と『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が評価④ですので、三作目は失敗するというジンクスどおりになってしまったという結果です。
話題のゴジラ最新作ですのでご覧になっても良いかと存じますが、あなたが熱狂なキングコングのファンでなければ、あまり期待しない方が良いかもしれません。
(※1)
私の評価③というのは「観て良かったな」と思う作品です。 評価④が何度も観たい作であり、評価⑤はそれ以上であり最高、評価②は他人様には「観ない方が良いよ」で、評価①は金と時間を返してほしいと思うものです。
大切なあなたが 幸せでありますように。
相談屋さん カフェカウンセリング 横尾けいすけ
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