かぐや姫
- 2015/04/23
- 17:00
今回は、昔話のかぐや姫を 潜在意識観点で書いてみました。
月世界で 幸せに暮らす姫は、ある女を興味深げに見ていました。
その女は、天上にある碧く輝く星から戻って来たのですが、毎日のようにその星を眺めては歌うのでした。
懐かしむ歌を。
そして、ほろりと涙を落とすのです。
姫は、女に聞きました。「あの碧い星は良い所でしたか」
女は、「あそこでの記憶は無くなってしまいましたが、あの碧い星を眺め、思い出す歌を歌うと、無性に懐かしくなるのです」と言うのです。
女の言葉に、姫は思いました。
あの星に行けば、きっと良い事や楽しい事、そして、この月での暮らしよりも幸せな事が沢山あるんだと。
私も行ってみたいと思うようになったのです。
姫は神様に願い出ました。私も碧い星に行きたいと。
しかし、神は反対しました。「そこに行ったからといって、幸福にはなれないのだよ」
しかし、どうしてもと言う姫を見かねて、神は星への旅を許しました。
「ならば、特別に行かせてあげよう。しかし、あの星に住む人々を不幸にしてはなりません。誰ひとりとして不幸にしてはいけません」
そう告げられて、姫は碧い星への旅を許されたのでした。
姫は、碧い星の竹林に、人の赤子として降ろされました。
竹取の翁とその妻に大切に育てられ、勢い良く育つ姫はすぐに周りの子ども達と幸せに遊ぶのでした。
中でも捨丸という青年は、面倒見が良く、姫は捨丸を慕って育つのでした。
やがて、育て親の翁は、姫を都に連れて行きました。
都で暮らせば、きっと裕福な殿方の目に叶い、この姫も幸せに成ることだろうと思ったのでした。
名前も かぐや姫と改めました。
都で暮らすと程なくして、かぐや姫の美しさは伝説的に広まり、宮中の高貴な方々が求婚するようになりました。
しかし、姫は裕福な暮らしや高貴な身分に興味はありませんでした。
貧しくとも幸せだった捨丸との子ども時代を懐かしんでいるばかりでした。
必要に求婚する殿方を避けるために、姫は難題を吹きかけました。
この世に無い物を要求するのです。そうすれば、殿方も諦めるだろうと思ったからです。
しかし、殿方達は伝説の諸物を見つけようと、正に必死でした。そのために命を落とす者さえ居たのです。
かぐや姫は悲しみました。自分のために命を落とす者さえいる。なんという悲しい事だろう。
噂はついに帝にも伝わり、かぐや姫は帝からも求められました。
帝のもとに嫁ぐという事は、この世で最高の裕福な暮らしが出来るのです。
でも、裕福に興味の無いかぐや姫は断りました。かぐや姫は楽しい事、嬉しい事を求めていました。捨丸のような優しい友だちを求めていました。会ったことの無い殿方や帝に、心は躍らなかったのです。
しかし、今までの殿方と違い、帝の意向に逆らう事は出来ないのです。
窮地に追い込まれたかぐや姫は、強く想うのでした。「ここから逃げたい」と。
その晩、かぐや姫の夢枕で神様が告げました。
「逃げたいのですね。では十五夜の夜に、月に帰してあげよう」
姫は言いました。「月には帰りたくありません。私は子ども時代を過ごした山野の村に帰りたいのです」
しかし、神様は仰るのです。「あなたは幸せに成れると思ってこの碧い星に来たけれど、幸福に成れましたか。私は誰ひとりとして不幸にするなと言いましたが、どうでしたか」
そのお言葉に、かぐや姫は何も言えなかったのです。
月の使者たちが迎えに来る十五夜に、帝は二千人の六衛府を派遣し、かぐや姫を守ろうとしました。
しかし、月の使者には無力で、かぐや姫は舞い上がり、使者たちの元に引き寄せられてしまうのでした。
段々と、意識と記憶が変わるのを姫は気付きました。
碧い星での思い出が薄れ、月の暮らしが色濃くなってくるのに姫は気付くのでした。
薄れる碧い星での事は、走馬灯のように映し出され、姫は こう思ったのでした。
「竹取の翁もその妻も 村の人々も都の人々も 殿方も帝も 愛してくれたけれども、私は幸せに成れなかった。
きっと、受け取る愛では幸福になれないのだろう。私が幸福に成れなかったのは、私が愛さなかったからだ。」
この星で、一番幸せだった捨丸との子ども時代を思い出し、姫は呟くのでした。
「捨丸と居た時が一番素敵だった理由は、私が愛を与えていた唯一の時期だったからだろう」
大切なあなたが 幸せでありますように。
相談屋さん カフェカウンセリング 横尾けいすけ
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